年の途中で相続が発生した場合、亡くなった人の準確定申告を行う必要があります。
準確定申告における注意点をまとめました。
Contents
1.準確定申告とは
亡くなった年の1月1日から亡くなった日までに発生した所得について所得税の申告を行うことをいいます。また、被相続人に事業所得や不動産所得があり、消費税の納税義務者に該当する場合には、消費税についても準確定申告をしなければなりません。
1-1.提出先
亡くなった人の納税地を所轄する税務署
1-2.提出期限、納期限
相続の開始があったことを知った日の翌日から4ヵ月以内
1-3.提出しなければならない人
相続人など。相続人が複数いる場合には、原則として相続人全員で共同提出となります。実際には、下記の書類を、確定申告書に添付する必要があります。
2.届出書の提出
被相続人が行っていた事業を相続人が引き継いだ場合には、被相続人の事業上の特例(青色申告の特例など)は承継されず、引き継いだ相続人が届出書を提出する必要があります。
2-1.青色申告届出書の提出
青色申告者であった被相続人の事業を承継した相続人が、青色申告者となりたい場合には、「青色申告承認申請書」を提出する必要があります。提出期限は、相続の開始日によって異なります。
相続開始日 | 提出期限 |
1月1日から8月31日まで | 相続開始の日から4ヵ月以内 |
9月1日から10月31日まで | 相続開始の年の12月31日まで |
11月1日から12月31日まで | 相続開始の翌年2月15日まで |
2-2.消費税関係
事業を承継した相続人が、簡易課税制度などの適用を受ける場合には、新たに提出する必要があります。
3.準確定申告の注意点
準確定申告においては、通常の確定申告における所得税の計算とは異なる点があります。
3-1.年金の源泉徴収票
年金所得者については、翌年の1月頃に源泉徴収票が送られてきますが、準確定申告の場合は、相続人の申請に基づき、年金受給者の死亡日までにその人に支払った、その年分の年金に係る源泉徴収票が交付されます。準確定申告は相続の開始があったことを知った日の翌日から4ヵ月以内に行わなければならないため、早めに手続きを行う必要があります。
3-2.医療費控除
医療費控除の対象となるのは、死亡の日までに被相続人が支払った医療費であり、死亡後に相続人が支払ったものを被相続人の準確定申告において医療費控除の対象に含めることはできません。
なお、被相続人の医療費で、相続後に相続人が支払った医療費は、医療費控除の対象とはなりませんが、相続税の計算において債務控除として控除することができます。
3-3.社会保険料控除、生命保険料控除、地震保険料控除など
医療費控除と同様に、1月1日から亡くなった日までに被相続人が支払ったものについて控除対象となります。生命保険料控除などの適用を受ける場合には、控除証明書などの書類が必要となるため、保険会社等に書類の手配をする必要があります。
3-4.配偶者控除、扶養控除
配偶者や親族が被相続人と生計を一にしていたかどうかの判定は、亡くなった日の現況により判断します。
所得要件の判定は、亡くなった日の現況により、年間の合計所得金額を見積もって判定します。
3-5.住宅ローン控除
亡くなった日現在の借入金残高について適用があります。ただし、団体信用生命保険に加入していた場合には、保険金によって借入金が返済されるため、適用はありません。
4.相続税の申告への影響
準確定申告の結果は、相続税の申告にも影響します。
4-1.還付の場合
準確定申告による還付金は、相続財産となります。
4-2.納付の場合
準確定申告による納税額は、相続税の計算上、債務として控除することができます。
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