Contents

目次

  1. 相続税を節税するために配偶者の特例がある
  2. 具体的事例
  3. 遺産分割協議による相続税の違い
  4. 配偶者がすべて相続した場合
  5. 法定相続により相続した場合
  6. まとめ

1.相続税を節税するために配偶者の特例がある

配偶者には、配偶者に対する相続税額の軽減という特例が設けられています。

この特例を簡単にまとめると次のようになります。

1.配偶者が相続した財産が1億6,000万円以下の場合

  • YES → 配偶者については相続税はかかりません。
  • NO  → 2へ

2.配偶者が相続した財産が法定相続分以下の場合

  • YES → 配偶者については相続税はかかりません。
  • NO  → 配偶者も相続税がかかります。

相続財産が1億円であれば、配偶者がすべての財産を取得することで、相続税を支払う必要はなくなります。

2.具体的事例

相続人:配偶者、長男、長女の3名

相続財産:1億円

遺産分割協議1 配偶者がすべてを相続

遺産分割協議2 法定相続分で相続

3.遺産分割協議による相続税の違い

事例の遺産分割協議の内容による相続税をまとめます。

なお、Aの相続時を1次相続、配偶者の相続時を2次相続と表現していきます。

遺産分割の内容 A相続時(1次相続) 配偶者相続時(2次相続) 合計
配偶者がすべて相続    0円 770万円 770万円
法定相続 290万円  80万円 370万円

※配偶者固有の財産はないものとしての試算
※計算を簡易にするため財産の増減は考慮しない

4.配偶者がすべて相続した場合

この遺産分割では、Aの相続財産を配偶者がすべて相続しました。1次相続の相続税は、1の配偶者の特例によりゼロ円となります。では、配偶者の相続時(2次相続)はどのようになるのでしょうか。被相続人である配偶者の相続財産はAから相続した1億円です。Aの相続時は相続人が3名のため、相続税の基礎控除額は4,800万円でした。2次相続は相続人は長男、長女の2名のため、基礎控除額は4,200万円となります。相続財産1億円から基礎控除額4,200万円を引いた5,800万円が相続税の課税対象となり、相続税は770万円となります。1次相続と2次相続の合計は770万円となります。

5.法定相続により相続した場合

この遺産分割では、Aの相続財産を法定相続分によって相続しました。1次相続の相続税は、1の配偶者の特例により配偶者はゼロ円、長男、長女の相続税が290万円となります。2次相続を見てみると、被相続人である配偶者の相続財産はAから相続した5,000千万円(1億円×2分の1)です。2次相続は相続人は長男、長女の2名のため、基礎控除額は4,200万円となります。相続財産5,000万円から基礎控除額4,200万円を引いた800万円が相続税の課税対象となり、相続税は80万円となります。1次相続と2次相続の合計は370万円となります。

6.まとめ

以上のように、どのように遺産を分かるかによって、400万円もの差が出てきます。1次相続と2次相続の期間が長いと想定される場合には、配偶者がすべての財産を取得し、生前贈与等の相続対策を行うことで、上記とは違ったタックスプランニングを行うことができます。


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