高額療養費制度とは
高額療養費制度とは、長期間の入院などによって1ヵ月(月の初めから終わりまで)の医療費が高額になった場合に一定の自己負担額を超えた部分が払い戻される制度です。年齢や所得に応じて、本人の支払う医療費の上限が定められており、超えた部分の支給を受けることができます。
国民健康保険高額療養費支給申請(国民健康保険に加入していた場合)
国民健康保険の保険診療に係る医療費で一定額を超えた場合には、その超えた部分の金額が支給されます。高額療養費に該当される世帯は、診療月の概ね3ヵ月後の上旬に国民健康保険課から「高額療養費支給申請書」が送付されます。
申請書が届いたら、必要事項を記入し、領収書のコピーを添付して、世帯主が申請を行います。
期 限 | 療養に要した費用を支払った日の翌日から2年以内 |
申請先 | 世帯主の住所地の市区町村役場 |
申請する人 | 世帯主(世帯主死亡の場合はその法定相続人) |
必要書類 | 国民健康保険高額療養費支給申請書、国民健康保険証、領収書、印鑑、など |
健康保険高額療養費支給申請(給与所得者など健康保険に加入していた場合)
上記と同様に一定額を超えた場合には、その超えた部分の金額が支給されます。
期 限 | 療養に要した費用を支払った日の翌日から2年以内 |
申請先 | 健康保険組合 |
申請する人 | 被保険者(被保険者死亡の場合はその法定相続人) |
必要書類 | 健康保険高額療養費支給申請書、健康保険証、領収書、相続人が申請する場合は相続人であることが確認できる戸籍謄本(全部事項証明書)など |
高額療養費の相続税における取扱い
生前の医療費について、相続後に高額療養費支給申請の手続きを行うと、相続後数か月してから、指定した口座に高額療養費が振り込まれます。
相続後に支給を受けた高額療養費は相続税財産となるため、相続税の計算上、その他の財産として計上しなければなりません。これは、あくまでも治療を受けた被相続人に対して支払うものであり、被相続人の財産であるためです。
上記の場合は、相続の開始が平成27年7月ですが、高額療養費の支給を受けたのは、平成27年11月6日です。支給を受けた金額1,827円を相続財産に計上しなければなりません。
高額療養費の遺産分割協議における取扱い
遺言書がない場合や、遺言書にその財産についての指定がない場合、相続人が1人でない場合には、支給を受けた高額療養費についても、土地や建物などと同じように、遺産分割協議を行う必要があります。
高額療養費の準確定申告における取扱い
生前に支払った医療費については、被相続人の準確定申告において医療費控除の適用があります。高額医療費の支給を受けた場合には、その支給を受けた金額を控除した金額が医療費控除の対象となります。上記の例で、生前に支払った医療費が10万円の場合には、10万円から1,827円を控除した金額が医療費控除の対象となります。
また、死亡後に支払った医療費については、相続税において債務控除として相続財産から控除できます。