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土地の2つの評価方法

相続税を計算するうえでの財産の評価は、財産評価基本通達というルールブックのようなものに従って計算します。

土地の評価方法は、次の方法によることになっています。

①路線価方式

②倍率方式

路線価方式の計算方法

路線価が定められている地域は、路線価方式で評価します。

路線価方式の基本的な算式は次のようになります。

1㎡あたりの路線価×地積

路線価とは、道路に面する標準的な土地の1㎡あたりの価額をいいます。

土地の形状は様々です。

間口が短く奥行きが長い、長細い土地もあれば、逆に、間口が長く、奥行きが短い土地もあります。

また、1つの道路に接している土地もあれば、2つの道路に接している土地もあります。

このように土地の形は様々なため、土地の形状に応じた調整を行って1㎡あたりの路線価を計算していきます。

土地の評価額を最大限下げるための手順

実際に土地の評価を行う際に、当事務所が行う手順を公開します。 

土地に関する資料収集
土地の現地調査
役所調査

 

なお、ケースによっては、役所調査を先に行い、その後、土地の現地調査を行った方が良い場合もあります。

土地に関する資料収集

種類 取得場所 目的
固定資産税等課税明細書 お客様から 所有不動産の把握
固定資産名寄帳 都税事務所など 課税明細書では把握できない不動産の把握
登記簿謄本 法務局 所有者、所有権、地上権などの設定の有無の確認
住宅地図、ブルーマップ 国会図書館など 土地の位置の確認
公図 法務局 土地の位置、形状の確認
建物図面 法務局 土地に対して建物がどのように建っているか
地積測量図、現況測量図 法務局など 土地の形状の確認など
建築契約概要書 お客様、役所 土地の位置、形状などの確認
賃貸借契約書 お客様から 評価を下げるため(貸地、貸家建付地としての評価)

状況に応じて、これ以外の資料を収集する必要もあります。

 

土地の現地調査

土地の評価額を下げるために現地調査は必須といえます。

道路との接道状況を確認する

その土地と道路がどのように接続しているかによって、評価額に影響します。

道路に接道していない場合や、接道しているが、2m以上接道していない場合などは、「無道路地」として大きな評価減の可能性が出てきます。

道路の幅員を測る

セットバックとして評価額を下げる工程のために、道路の幅員を測定します。

上を見る、ぐるっと見回す

上を見て送電線の有無を確認します。

ぐるっと見回して、墓地などの嫌悪施設、忌み施設がないか、高低差はないか、騒音などの周辺環境を確認します。

例えば、隣が墓地である場合は、利用価値が著しく低下しているものとして、評価額を下げることができる可能性があります。

状況を記録する

現地の写真、ケースによってはビデオカメラで撮影します。

写真は、土地の評価額を下げる根拠資料ともなります。

 

役所調査

評価しようとする土地が、どのような種別の道路に接しているかによって、評価が違ってきます。

接している道路の確認

道路が公道なのか私道なのかの確認を行います。見た目は普通の道路でも、私道の場合があります。

建築基準法上の道路の種別の確認

その道路が建築基準法上、どのような道路種別か確認します。

2項道路と呼ばれる建築基準法42条2項に定められている道路の場合には、セットバック(道路後退)の可能性があり、評価額が下がる可能性があります。

都市計画の制限の確認

評価しようとする土地が、都市計画道路の予定地内の範囲に含まれている場合などは、評価額が下がる可能性がります。

その他、用途地域、容積率、建ぺい率などを確認することで、評価額が下がる可能性があります。

建築計画概要書の確認

建築計画概要書の配置図により、接道する道路の状況などを確認します。

例えば、セットバック済みの場合に、土地のうち、道路として利用されていることがあります。

分筆していない場合などは、一見しただけでは分かりませんが、建築計画概要書で確認できるケースがあります。

 

土地評価のポイント

財産評価基本通達1(3)では、次のように規定されています。

「財産の評価に当たっては、その財産の価額に影響を及ぼすべきすべての事情を考慮する。」

「価額に影響を及ぼす事情」を、

いかに見つけるか、税務当局が納得できるような資料や説明材料を作れるか、

これによって、評価額は変わり、相続税額も大きく変動します。