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空き家対策特別措置法

平成27年5月26日に、空き家対策特別措置法が全面施行されました。

これにより、空き家となっている土地の固定資産税が6倍になる可能性があります。

住宅が建っている土地は更地に比べて、固定資産税が1/6になる取扱いがありますが、

空き家対策特別措置法の施行により、この特例が適用できず、6倍の税負担になる可能性があります。

このように空き家問題が注目されています。

空き家を、そのままにしていた場合、賃貸に出した場合、売却した場合、

それぞれの相続税を試算してみました。

相続税の試算(新宿に空き家を所有しているAさんの場合)

<前提>

  • 単位:万円
  • 比較することが目的のため、簡易な計算によっています。
  • ※ 6,300万円-1,100万円-200万円=5,000万円

 

相続税の試算をケース別にまとめると次のようになります。

 

  空き家のまま  賃貸に    売却する 
①新宿の土地 5,000 4,100
②新宿の建物 500 350
③現預金 3,000 3,000  3,000
④売却手取り ※5,000
⑤小規模宅地等の特例 0 ▲2,050
⑥相続税の課税対象 ① + ② + ③ + ④ - ⑤ 8,500 5,400 8,000
⑦基礎控除 4,200 4,200 4,200
⑧相続税の総額 545  120 470
⑨手取り ③+④-⑧ 2,455 2,880 7,530

 

相続税の試算(空き家のままの場合)

新宿区に空き家を所有しているAさんに相続が発生した場合、「空き家のまま」では、約540万円の相続税となります。

空き家のままにしておく場合のデメリットとしては、

  • 固定資産税の負担が6倍となる可能性がある
  • 建物の内部や庭などを管理する費用、負担が生ずる

 

相続税の試算(賃貸に)

相続税は約120万円と、「空き家のまま」と比べて78%相続税が少なくなりました。

相続税が約78%も減少した理由としては、

  • 賃貸に出すことで借地権割合、借家権割合を加味した評価が可能となり、土地の評価額が18%減額できた
  • 賃貸に出すことで借家権割合を加味した評価が可能となり、建物の評価額が30%減額できた
  • 賃貸に出すことで小規模宅地等の特例の適用が可能となり、土地の評価額がさらに50%減額できた

ただしデメリットもあります。

  • 空き家を賃貸に出すための修繕費用が生じる
  • 家賃収入による不動産所得が生じるため、所得税、住民税などの負担が増える可能性がある

また、今回は想定していませんが、空き家を取り壊し、建築後賃貸ということも考えられます。

その場合には、取壊し費用、建物の建築に伴う各種費用が生じます。

 

相続税の試算(売却)

相続税は約470万円となりました。

売却代金から譲渡税や仲介手数料などを引いた手取りをもとに、新たな相続対策も可能です。

デメリットは、

  • 空き家の売却による譲渡所得税が生ずる可能性がある

 

まとめ

相続税だけを考えると、簡単な試算ですが、「賃貸に」が最も有利となりました。

ただし、上記で説明したデメリットもあるため、

それぞれの詳細なシミュレーションをして、固定資産税、相続税、所得税など税金や問題点を整理してみることが得策といえます。


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