個人の所得税の税率と法人税の税率に差が出ており、不動産賃貸については、法人による不動産所有が効果的です。
既に高額の所得がある方がこれから賃貸不動産を購入しようとする場合、上記のように、法人で取得した方が家賃収入に対する税金は少なくなり、効果的な相続対策となります。
ただし、賃貸不動産の取得に際しては、税率だけではなく総合的に判断して、個人で取得するか、法人で取得するかを検討すべきです。
ここでは、個人で取得した方が良いケースをご案内します。
Contents
年齢や健康状態
年齢や健康状態から考えて相続税対策を行う場合、個人での取得の方が即効性があります。
<具体例>
- 1億円の賃貸不動産を取得する。
- 相続税評価額は6,000万円とする。
- 取得してから数か月後に相続が発生
- 相続発生時の時価は1億円とする。
個人で取得した場合
相続税評価額6,000万円
法人で取得した場合
法人の株価の計算上、賃貸不動産は相続税評価額6,000万円ではなく、時価1億円で評価しなければなりません。
これは、株価の計算上、取得から3年間は時価で評価する規定があるためです。
したがって、相続の発生が近いと想定される場合には、個人での取得の方が相続税対策になります。
転売を目的としている場合
賃貸不動産を取得後売却する場合、取得してから売却までの所有期間によって、税負担が異なります。
個人で取得した場合
売却する年の1月1日時点で、所有期間が5年超であれば20%、5年以下であれば39%の税率となります。
※復興特別所得税は未考慮
法人で取得した場合
個人の場合の所有期間の概念はなく、他の賃貸収入や他の事業の所得と合算して課税されます。平成27年度の実行税率は約32~33%です。
したがって、所有期間5年超での売却を視野に入れている場合には、法人で取得するよりも個人で取得する方が有利となります。
相続税申告時の小規模宅地等の特例を考慮
小規模宅地等の特例は、土地の課税価格を50~80%引き下げることができる特例のため、この特例を適用できるかどうかで相続税に大きな違いが出てきます。
亡くなった方が居住していた自宅に対する小規模宅地等の特例は、土地の課税価格を80%引き下げをすることができますが、適用にあたっては、配偶者や同居している親族が取得した場合などに限定されています。
そのため、1次相続では配偶者が取得すれば適用できますが、2次相続の場合には、子も独立しており同居している親族もおらず、自宅については適用できないケースが出てくると想定されます。
<具体例>
- 自宅に小規模宅地等の特例を適用できない
- 自宅以外の土地がない
個人で取得した場合
賃貸不動産については、貸付継続や保有要件を満たせば、200㎡まで土地の課税価格を50%引き下げることができます。
法人で取得した場合
法人で取得した賃貸不動産については、小規模宅地等の特例の適用はありません。
個人で小規模宅地等の特例の適用を受けられる土地がない場合には、個人で取得した方が相続税の引き下げにつながります。
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