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届出書の活用で土地の相続税評価額を下げる

不動産オーナーの法人を活用した相続対策

賃貸建物を不動産オーナーから法人へ移転することで、所得税と法人税の税率の差を活用して節税を図ることができます。

この時に、届出書を活用することによって、さらに相続対策を行うことができます。

 

<土地の相続税評価額>
1億円→8,000万円(20%減額)

 

不動産オーナーと法人が連名で、「土地の無償返還に関する届出書」を提出します。

これは、将来法人の借地権を無償で不動産オーナーに返還することを約した書類です。

財産価値としての借地権の金額は認識せず、将来借地の返還時には、立退料などの一時金をやり取りしない方法です。

また、この届出書の提出によって、借地権の税務的問題を回避することができます。

地代の設定

「土地の無償返還に関する届出書」を提出して、土地の評価額を20%減額するためには、不動産オーナーと法人の間の土地の貸し借りが、賃貸借である必要があります。

実務上、その土地の固定資産税の2倍~3倍以上の地代を設定します。

なお、使用貸借の場合には、土地の評価額は20%減額、下記の小規模宅地等の減額特例の適用をすることはできないので注意が必要です。

 

小規模宅地等の減額の特例

さらに、上記の8,000万円について、次の要件を満たせば、小規模宅地等の特例により貸付事業用宅地として、200㎡まで50%減額することができます。

1億円→8,000万円(20%減額)→4,000万円(50%減額)

<主な要件>

・貸付事業を相続税の申告期限までに引き継いで、かつ、その申告期限までその貸付事業を行っていること

・その土地を相続税の申告期限まで所有していること

 

法人の株式の評価

不動産オーナーが法人の株主となっている場合には、法人の株式の評価上、自用地評価額の20%を加味しなければならないケースがあります。

なお、借地上の建物が貸家として利用されている場合には、自用地評価額の20%に借家権割合を考慮した金額を計上すると考えられます。

以上のように、考慮しなければならない事項は多岐に渡ります。届出書の作成はもちろん、地代の設定、賃貸借契約書の整備、法人の株価に与える影響などを考慮して、実行することが得策といえます。