アパート経営をしている人の法人化による節税をまとめています。法人化により税金の負担を抑え、効果的に次世代に資産を残すことが可能となります。

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アパート経営の個人、法人の有利不利一覧

 個人法人有利なのは
税率超過累進比例法人
給与の支給専従者給与役員報酬法人
給与に対する経費の利用専従者給与について利用可本人を含む役員に対してそれぞれ利用可能法人
相続財産の抑制家賃収入が個人の財産として蓄積され相続税の負担が増える役員報酬以外は法人の増加財産。法人
資産の移転のしやすさ登記費用が必要となる株式での贈与のため登記費用は不要法人
経費の範囲限定的個人と比べるとより広く認められる余地がある法人
退職金の支給できない可能法人
将来の修繕を見越した積立の経費計上できないできないが、生命保険を活用することで、積立時に経費計上可能法人
土地の相続時の評価(土地、建物は個人所有)18%~21%程度減額可能-同じ減額効果
土地の相続時の評価(土地は個人、建物は法人)無償返還の届出により20%減額可能-

利益(所得)が分散されることによる所得税の減少

所得税は所得が大きくなるほど税率も高くなります(これを「超過累進税率」といいます。)。法人化により、アパート所有者の利益が法人の利益に変わることで、個人の所得税が少なくなります。

所得税と法人税の税率格差を利用する

個人の所得税は超過累進税率、法人の法人税等は比例税率です。

 個人法人
最低税率15.105%
所得800万円以下22~24%程度
所得800万円超30%程度
最高税率50.945%

同じアパートの家賃収入でも、形態によって税率が異なるため節税につながります。

複数の役員に給与を支給する

個人の場合、青色専従者給与として給与を分散することはできますが、法人の場合は役員報酬として複数の人に分散することができます。不相当に高額でない限り、役員報酬は経費として計上できるため、税金の対象となる所得を減少させることが期待できます。また、個人の場合、自分自身に給与を支払っても経費とはなりませんが、法人化の場合は自分自身に役員報酬を支払い経費とすることができます。

給与所得控除の活用

給与所得控除とは、給与に対する経費として所得税の計算上控除できるものをいいます。法人化により複数の親族等に役員報酬を支給することにより、給与所得控除を支給する人数の分だけ使うことができます。

・500万円を1人に支給した場合と5人に100万円ずつ支給した場合の比較

 1人に支給5人に支給
給与所得控除額154万円325万円

相続財産の抑制

個人所有の場合は、家賃収入から経費、税金などを引いて手許に残ったお金が蓄積されていき、相続財産を構成することになります。法人所有の場合は、法人の手許に残ったお金は法人の財産であり、個人の相続財産ではないため、相続財産を構成しないため将来の相続税の節税にもつながります。

資産の移転

相続税対策などで生前に財産を贈与などで移転することを考えるケースもあります。アパート経営を個人で行っている場合は、不動産を移転することになるため登記費用が発生します。贈与税の基礎控除額以内で贈与を行えば贈与税の負担は生じませんが、登記費用は生じます。法人化を行った場合、移転するのは株式になるため登記費用の負担が生じません

経費の範囲

アパート経営の税金計算は、家賃収入から経費を引いた所得(利益)に対して行われ、個人でも法人でも同様の計算を行います。個人の場合は経費の範囲が限定的ですが、法人の場合は保険の活用など、より広い範囲で経費を計上できる余地があります。

退職金の支給

個人の場合は、自分自身に退職金を支給することができません。法人の場合は、自分自身や役員に退職金を支給することができます。要件を満たせば退職金を経費計上することもできます。また、相続時に死亡退職金として、相続税の非課税枠を活用することもできます。

将来の修繕を見越した積立の経費計上

アパートの修繕は築年数が経過していくごとに多額になってきます。ある程度築年数が経過した場合は、大規模修繕が想定されます。将来の大規模修繕に備えて資金を確保しておくことはアパート経営において必要なことですが、必要な資金を毎年積み立てる場合、積み立てた資金は経費とはなりません。これは個人経営でも法人経営でも同じですが、法人経営の場合は生命保険を活用することで、一定額を毎年の経費として計上することが可能となります。具体的には、法人を契約者、役員を被保険者、保険金受取人を法人などとし、大規模修繕が想定される時期に解約返戻金が大きくなるような契約を締結します。これにより法人が毎年支払う保険料の一部が経費となり、税金の負担を抑えつつ大規模修繕資金の確保ができます。

土地の相続時の評価減

アパート経営の法人化を考えた場合、建物のみを法人に移転する方法が最も多く行われています。この場合に、借地権の税務上の問題を避けるため、「土地の無償返還に関する届出書」を提出し、通常の地代による賃貸借契約を行うケースが一般的です。この方法によった場合、下記のような減額ができるため、相続時の土地の評価について、アパート経営を法人することによる不利はありません。

土地もアパートも個人所有の場合

土地は貸家建付地評価を行うことができ、更地の評価額から18%~21%程度減額を行うことができます(借地権割合により異なります。)。

土地は個人、アパートは法人所有の場合

「土地の無償返還に関する届出書」を提出し、通常の地代による賃貸借契約を行うことで、更地の評価額から20%減額することができます。


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