Contents
相続対策になる生前贈与の特例
相続税は亡くなった時点で亡くなった人が所有していた財産に対して課税されます。財産を生前に贈与して移転すれば、課税対象となる財産が減少するので相続税の節税につながりますが、贈与税の課税対象となります。贈与税の税率は相続税の税率より高くなっているため、思わぬ税負担が生じる可能性があります。そこで、贈与税が非課税とされる生前贈与の特例を使って、相続税の節税を図り、相続対策を行う手法を見ていきます。
住宅取得等資金の生前贈与の特例
この生前贈与の特例は、子供や孫が自身のマイホームを取得する際の資金援助に対する贈与税の特例です。マイホーム取得の際には、資金が必要です。子供や孫に十分な貯金があればいいでしょうが、そのようなケースが稀でしょう。住宅ローンについても、税法上、住宅ローン控除という優遇規定がありますが、多額の債務を背負うことは少ないことにこしたことはありません。そんな時の資金援助は、非常に感謝されます。さらに、自身の相続税の節税にもつながり、相続対策になります。
生前贈与の特例でいくらの相続税が節税となるのか
贈与をする人の財産が多額で、仮に相続が発生した場合の相続税の税率が55%だとしましょう。この非課税の生前贈与の特例を使って1,000万円を贈与したとします。いったいどれくらいの相続税の節税になったかを検証すると、
1,000万円×55%=550万円の相続税の節税
平成26年の平均年収は約440万円です。生前贈与の特例を使った相続対策を行うことで、平均年収以上の財産が増えたことと同じ経済的効果があります。
相続税の節税以外のメリット
子や孫は、援助分だけ住宅ローンを組む必要がなくなるため、利息の負担が少なくなります。その分貯蓄に回すことができますので、子や孫の家計に余裕が生まれます。
平成27年度税制改正大綱
一定の要件を満たす場合、平成26年は、最大1,000万円(東日本大震災被災者以外の一般の者の場合。)まで贈与税が非課税となっていました。
平成27年度税制改正大綱では、非課税の金額が最大3,000万円となり、期限も平成31年6月30日まで延長される予定となっています。
相続対策を行う上での注意点
資金援助を受けた側で、マイホームの引き渡しの期限が、贈与の翌年の3月15日までという要件があります。新築のマンションなど建築期間が長期に渡る際には、手付金の支払い時には、この特例を適用できないケースも多く生じています。
投稿者プロフィール
最新の投稿
- 相続2017.03.27【平成29年度版】7月の路線価発表前に路線価を予測する【渋谷区】
- 相続2016.12.16平成27年分の相続税の申告状況について
- 相続2016.12.02相続税の申告状況、税務調査の状況について(平成27事務年度)
- 相続税2016.10.03世田谷区の相続税における土地評価