今回の事例で紹介する財産は、相続税の還付請求手続きを行うため、既に税務署に提出された相続税の申告書を確認していると、かなりの割合で過大計上となっている財産になります。
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事例
配偶者であるAさんは、夫であるBさんの死亡後、夫が生前に支給を受ける予定であった国民年金(未支給年金)を請求し、国民年金10万円を受け取りました。
誤まった相続税申告
Aさんは、夫が生前に支給を受ける予定であった国民年金は、夫の相続財産であると思い、未支給年金10万円として計上し、相続税の申告を行いました。
正しい相続税申告
未支給年金10万円については、相続税の課税対象となりません。
未支給年金については、被相続人の遺族が、未支給年金を自分の固有の権利として請求するものです。この事例の場合には、相続人であるAさんの財産であり、Bさん(被相続人)の死亡に係る相続税の課税対象とはなりません。つまり、相続財産として計上する必要はありません。
なお、Aさんが支給を受けた未支給年金は、Aさんの一時所得として所得税の課税対象となります。
ただし、所得税の計算上、一時所得には特別控除額(最高50万円)があるため、他に一時所得の対象となるものがなければ、所得税の課税は行われません。
相続税申告に不慣れな税理士が行った相続税の申告書には、この未支給年金が未収入金として財産計上されていることが非常に多く見受けられます。
未支給年金の申請について
年金は受給者が亡くなられた月の分まで支給されます。生計が同一であった親族がその期間分の年金を請求することができます。この年金のことを「未支給年金」と言います。
また、年金の受給者が亡くなられた場合、「年金受給権者死亡届(報告書)」の提出が必要となります。したがって、未支給年金を受けられる遺族がいる場合、未支給年金の請求と合わせて届け出が必要です。
提出が遅れ、年金を多く受給した場合は返還しなければならなくなります。年金を受給している方がお亡くなりになったときは、すみやかに提出してください。
詳しい手続きについては、相続発生時の年金関係のページにて確認下さい。
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